7/18 米果南国展チーム帰国&10日間のふりかえり
Schroll
台湾×西会津
文芸交流と制作の記録
7/5〜7/18
展示
Exhibition
土川博物館
「土川博物館」は、2022年に開幕した「隆(りゅう)田(でん)chacha文化資産教育園区」の見どころを海外に発信し交流を促すために、台南市文化資産管理処が立ち上げたプロジェクトです。土川博物館の「土」と「川」は、台湾一の農水施設である嘉(か)南(なん)大圳(たいしゅう)の「圳」という字に由来し、「圳」とは台湾華語で農業用水路を意味します。烏山頭(うさんとう)ダムを中核とするこの巨大な水利システムは、1920年に着工され、10年の施工期間を経て完成しました。当時、「東洋一のダム」と讃えられ、世界で3番目の規模を誇る嘉南大圳が整備されたことによって、嘉南平野に水が行き届き、蓬莱(ほうらい)米が大幅に増産されるようになりました。蓬莱仙島とは台湾古来の雅称で、見果てぬ美しい地という意味を持ちます。台湾産の蓬莱米は、戦前、宗主国だった日本の食糧不足を補っていました。
総面積1.7ヘクタールを誇る教育園区は、水利技師の八田與一(はった・よいち、1886– 1942)が工事の総指揮を執った烏山頭ダムの最寄り駅に隣接しています。水庫の工事模様を描いたタピストリーの《蝋描壁掛嘉南大圳工事模様(ろうがきかべかけかなんたいしゅうこうじもよう)》をベースとした、台湾最大規模の没入型シアターが併設されており、嘉南大圳や蓬莱米の歴史についてインタラクティブに学べる教育施設となっています。「土川博物館」とは、不毛の大地と呼ばれた嘉南平野が一大穀倉地帯へと変容した変遷、水利と自然環境との共存、台湾の近代化遺産の価値を問い直し再発見する、移動型ミュージアムです。
指導|台湾 文化部文化資産局
主催|台南市文化資産管理処
実行・キュレーション|朗敘設計
設計|賀賀工作室
協力|農田水利署嘉南管理処、国立台湾大学農芸学科、隆田chacha文化資産教育園区
共催|西会津国際芸術村
米果南国展
「米果南国」では、日本人によって導入された蓬莱米のDNAを受け継ぎながらも、台湾人自ら改良を重ね、独自の発展を遂げた台東(たいとう)県池上(いけがみ)郷の「米」と、トロピカルフルーツのパラダイスで台湾最南端の屏東(へいとう)県潮州(ちょうしゅう)鎮の「果」を展示します。
「米」の展示室では、100種類の台湾米料理写真から構成された、稲が風になびく風景のインスタレーションがダイナミックに立ち現れるほか、池上に生きる農民、料理人、地方有力者などのインタビュー映像を、会津で収集した古いテレビなどを通して再生します。南国台湾での米づくりの苦楽を、日本の東北に住まう人々や訪れる旅人に語りかけます。 「果」の展示室では、屏東で果樹園を営む想いを写真や言葉で伝えるとともに、マンゴー、パイナップル、バナナといった台湾で最もよく食されるトロピカルフルーツ9種をピックアップし、その栽培方法や特色もあわせて紹介しています。3Dプリンターによって絶えず印刷され続ける果物を観察できるほか、「色味」「触感」を実際に手で触って疑似体感できるコーナーも設けられています。また、紙と接着剤で創られた1/1スケールのバナナの木が並び、台湾人作家として初めて日本の官展入選を果たし、台湾近代美術を牽引した彫刻家の黄土水(こう・どすい、1895-1930)の遺作《水牛群像》(別名《南国》)もフィルムとネットによって再現されています。
実行|潮州小直、大直設計
感謝|台湾好文化基金会、台東県池上郷文化芸術協会
後援|西会津町
共催|西会津国際芸術村
事業コーディネート・通訳・翻訳| 池田リリィ茜藍(日中翻訳家・台南市文化資産管理処対日本窓口兼顧問)
土川博物館
米果南国展